中古マンション、損するのは「買う人」

営業マンという〝コウモリ″ にご用心

不動産屋は「売る人」と「買う人」両者の味方をすることが常識とされています。

そうすると1つの物件で、2倍儲かります。

しかし、考えてみれば「良い条件で売りたい人」と「良い条件で買いたい人」を同時に味方することは不可能です。

なぜなら、その「良い条件」とは自分にとって有利な条件ですから、売る人・買う人、双方が自分に有利な条件で相手を説得してほしいと思っています。

例えば、売る側は「高く売りたい」けれど、買う側は「安く買いたい」と言うようなことはその典型です。

弁護士だって、訴える側、訴えられる側を、同時には味方できません。

訴える側は「重罰」を求め、訴えられる側は「無罪」を求めます。そんな両者のあいだに一人の弁護士が立ち、どちらも公平に味方することができるでしょうか?

不動産業界では、そうしたことが当然の習慣となっているのです。

例えばネットオークションなどのように、本人同士が交渉を行う取引であればいいです。しかし、もし誰かに代理で委託する場合、本来、交渉とはそれぞれ別の代理人を申し立てるものです。

そして互いの代理人がプロとして意見をぶつけ合いながら着地点を見出します。

しかし中古マンションの取引では「売る人」と「買う人」のあいだに、どちらも同じ不動産屋が入ります。更には、それを同じ営業マンが担当することも決して珍しくありません。

すると営業マンは、まるでイソップ童話に出てくる卑怯なコウモリのように、あっちにいい顔、こっちにいい顔しながら、最終的には自分に都合よく交渉の着地点をコントロールできてしまいます。

交渉の犠牲者は「気弱」なあなた

このように仲介人のコントロール下にある交渉というのは、どちらか〝主張の強い側 ″ の意見を優先して通すことが最も楽なのです。そして、そのとき犠牲になるのは常に〝主張が弱い側″ で、その犠牲者が「買う人」というわけです。

皆さんにも経験があると思いますが、主張が強い人を説得しようと思うといささか面倒です。「何でそんな自分勝手なことが堂々と言えるんだろう?」と嫌に思うことはあっても、その人を説得してまで正そうとする人は少ないです。そのような大きなエネルギーに逆らうためには、更に大きなエネルギーが必要になります。

営業マンも同じで、そんな面倒なことは極力避けて通りたいのです。それよりも、主張が控えめで弱気な相手をやり込める方がずっと簡単で手っ取り早いと考えます。

更に〝タイムリミット″ が営業マンの強引な交渉に拍車を掛けます。(※ タイムリミットについて、また後ほど詳しくお話しします)

営業マンにしてみれば、両者の間には自分しかいません。だから意識的か無意識か、どちらか主張が弱い方に負担を負わせようと考えてしまうのです。

この「負担を強いる行為」こそ、まさしく「営業」です。営業マンとは、それを上手にやれる職業のことです。

そのなかには平気で嘘をつけるような人間もいるので注意が必要です。

ただ実は、多くの人がそうしたことに薄々、勘付いているのかもしれません。

だから皆「できれば営業されたくない」と思っているのです。

〝あっち″にいい顔

では、主張が強いのは「売る人」「買う人」のどちらでしょうか。結論から言えば、ほとんどの場合「売る人」です。その原因は、不動産屋と「売る人」との関係性にあります。

大前提として、不動産屋は「売る人」と主従関係にあります。「売る人」は不動産屋よりも上の立場です。だから不動産屋というのは、誰よりも「売りたい人」を特別扱いするのです。

なぜなら、それは「売り物」がないと仕事にならないからです。なんとか自分に販売を任せてもらうため「売りたい人」に対して精一杯アピールします。

もちろん仕事を任せてもらう上で、自分をアピールすることは必要です。私もこうして自分の意見をブログを書くことで、皆さんにアピールしているわけですから。

しかし、アピールするのと「大口を叩く」ことは違います。

「  どこよりも高く売りますよ!  」

「  物件が足りません、今なら相場よりも高く売れますよ!  」

「  丁度、あなたの物件を買いたいと言うお客様がいますよ!  」

嘘か本当か、ほとんどの不動産広告・チラシには「売る人」にとって魅力的なお決まりのセリフが並びます。実はこうした文言のほとんどは「釣り文句」といって、魚の餌のようなものだと言われています。自宅の売却を考えている人たちの心理を動かす常套手段です。更に、豪華景品やギフト券、お食事券などを利用して自分の存在をアピールするのです。見たことありませんか?

しつこい営業に拍車を掛ける〝タイムリミット ″

不動産屋はそうしたアピールに成功すれば「売り物」を預かることができます。

しかし、まだ安心はできません。実は「契約期間は3ヶ月 」と法律で決められているのです。つまり3ヶ月の販売期間で売れなければ、他の不動産会社に「売り物」が移ってしまう可能性があるということです。

これが販売のタイムリミットとなります。

だから「なんとか3ヶ月で売り切ろう」と必死になって頑張ります。ちなみに不動産業界は「成功報酬」なので、その物件が売れるまで報酬は1円も発生しません。もし売れなければ3ヶ月タダ働きとなってしまいます。だから当然、必死です。

〝こっち″ にいい顔

では、何を必死に頑張るのか?

そう営業です。「売る人」にアピールが成功したら、今度は「買う人」に対して必死にアピールするのです。

ついさっき「どこよりも高く売りますよ」と言って預かった物件を、今度は買う人に対して「この物件がどんなにお買い得であるか」をアピールして売り込みます。…なんとも不思議な、馬鹿げた光景です。

不動産の営業マンがしつこく、なんとなく信頼できないと思われるのは、以上のことが原因になっているのです。

『次回の記事』では、こうして不動産屋に根付いた習慣を、根本的に見直す仕組みについて考えます。

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