不動産会社を退職し、スターバックスでアルバイト

「たった一人が必要とする」そんな価値ある仕事を生み出したい

次第にそう考えるようになりました。もしかするとスターバックスとはそういう場所なのかもしれません。上陸したばかりのスターバックスがそうだったように。

スターバックスの事業の真の目的は「コーヒーを売る」ことではありません。コーヒーを通じて、まったく別のもの提供しています。人はそれを「付加価値」と呼びます。

〝コーヒーを通じて、人々の心を豊かで活力あるものにする″

これが本来のミッション(使命)です。表向きはコーヒーを提供する企業ですが、その裏には「お客様の〝日常に豊かさ″を与える」という、揺るぎないミッションを持っています。実際に私も、この一点だけは何があってもブレないという意識を持って働きました。

このミッションは形あるものではないけれど、ブランドとして確実にお客様へと伝わります。そしてそのブランドがお客様を惹きつけます。

〝日常の豊かさ″ とは、日常を輝かせる『エネルギー』のことです。お客様の何気ない日常に活力を与えたい。その手段として、コーヒーという商品を提供しています。そしてコーヒーを通じて、多くの人に前向きになって頂くことが事業の一番の目的なのです。

この記事をご覧の皆さんのなかで、スターバックスの常連の方や、気付けばつい足を運んでいるという方は、既にそのことにお気付きかもしれません。

この理念は、店舗の空間デザインに始まり、ドリンクの品質、そして仕上がったコーヒーを手渡しする際の〝ほんの一瞬″ のコミュニケーションに至るまで、スターバックスが提供するサービスの細部に宿るのです。

そんな場所でサービスを提供するバリスタとして働いていた私は、改めて過去8年の不動産業経験を振り返り、このスターバックスの考え方こそ、今の不動産業界には必要なんじゃないか?と考えるようになりました。

 

不動産業界がスターバックスのように、人々にとってもっと身近で、もっと愛される存在だったなら…

という想いから、本事業の構想に至りました。

「なんか怪しい」「信用できない」「嘘ついてそう」「ダマされそう」… 不動産業界って、そんなイメージじゃありませんか?

私自身、きっと世間にそう思われていると感じながら働き続けました。そして盆や正月に、大好きな祖父や祖母に会うとき、不動産会社に就職していると胸を張って堂々と話せない自分があまり好きではありませんでした。

そうして不動産業界に対する不満は日々積もっていき、悶々とした気持ちを抱えながら不動産業界に身を置いて約8年が過ぎようとしていました。

そんなある日「スターバックス銀座新店舗アルバイト募集」の広告を目にします。

そして、30歳の節目に脱サラする決心をしました。

当時、まだ結婚して3年目で、住宅ローンも3,000万円以上抱えているなか、時給930円の仕事に転職するというのは個人的になかなか一大決心だったような気がします。

でも「このチャンスを逃すと、一生辞められないかもしれない」と考えることが出来ました。

そんな風にして私は、不動産業界から退きます。

一方、スターバックスという企業は、多くの人々に愛され続ける企業です。2014年度、日経調査の「顧客満足企業ランキング」では、飲食店部門で堂々の1位を獲得しています。ちなみに他の部門では、エンターテイメント部門に東京ディズニーリゾート、更にホテル部門にリッツカールトンなど、どちらも伝説のサービスで有名な企業が1位にランクインしています。

スターバックスは〝たった一杯のコーヒー″によって、それまで世の中になかった新たな価値を多くの人々に提供しました。そして、私もそのサービスに魅了された一人というわけです。

全く新しい価値とは『サードプレイス』という概念

スターバックスの掲げるサードプレイスとは、自宅や学校・会社に次ぐ〝あなたにとって三番目の居場所″ という意味です。自宅や会社で過ごす以外の時間をスターバックスで過ごしてもらいたいというビジョンに沿って環境を整え、世に提供しています。

今や日本中、どこのスターバックスの店舗も満席状態です。特に休日など、もう歩き疲れてクタクタで座りたいときもなかなか席は取れません。それは裏を返せば、それだけ居心地が良くてなかなか離れられないということです。実は私も、毎週休日のたびお気に入りのスターバックスに足を運んでは、一日の半分以上をそこでの読書に費やしています。それがもう何年もの日課なんです。だからスターバックスで働き始めてからは、盆と正月を除きもう360日がスタバ生活なわけです。

そんな自分が「お客」として、そして「従業員」として確信したこと。

「サードプレイス」には、2つの意味がある

まず一つは『物理的な空間』の提供です。先に述べたように自宅や学校、会社以上に快適に過ごせる場所として過ごしてもらえる空間づくりです。それを実現するため、落ち着いた色調でオシャレな雰囲気に仕上げた内装デザイン。リラックスできるこだわりのBGM。そして長時間座っていても疲れにくい椅子やソファ、テーブルなど、厳選した家具で居心地のよい空間を徹底して作り上げ、お客様をお迎えします。そしてお客様はその空間を求め、その場所代として他に比べて高級なコーヒーを買って頂けるのです。

そして重要なのがもう一つの意味です。サードプレイスの意味が持つ最大の魅力は、スターバックスが「お客様と心で繋がることを考える」ことです。お客様が心から満たされるような、そんな居心地の良さを提供しようと考えます。実はこれが、私がスターバックスに抱く一番の魅力であると、働くなかで確信しました。

繰り返しですがスターバックスでは素晴らしい店舗空間を用意します。しかし、実際はテイクアウトのお客様も非常に多いのです。そういう方は居心地が悪いから店内で過ごさないのではなく、持ち帰りでも「コーヒー買うならスタバ」と言ってくれます。実際、私が勤める銀座では忙しい仕事のあい間を縫って、わざわざ買いに来てくれるOLさんやサラリーマンの方々が多く、その7〜8割はテイクアウトです。信じられない話かもしれませんが、それでもその多くの方がほぼ毎日買いに来てくれるんです。近くにコンビニや他のカフェチェーンだって在るのに、決して安くないコーヒーを選び、毎日買いに来てくれるわけです。しかも店内で過ごすわけじゃないという。

一体、なぜそんなことが起こるのか。その答えも分かるようになりました。それが「心の繋がり」です。私たちはテイクアウトの方にも、その一瞬で心を通わせることを大切にして接します。そのやり方にマニュアルはなくて、何でもいいんです。例えば私の場合、注文のとき相手が「今日も一日頑張れそうだ」と〝活力を得てもらえるような会話″を心がけて接しています。またある従業員は、マジックで紙コップにお客様の名前を入れたり、心を込めたメッセージを書き残します。そのとき、こんなことを想像します。朝早く来てくれたお客様がこのあと職場に着き、自分のデスクで改めてコップのメッセージに気付いたとき、何が書かれていたら喜んで貰えるだろう?どんな風に感じるだろう?…と。そんなことを短い接客時間で一生懸命、必死になって考えるのです。

そうした心の繋がりこそ、多くの人々にとってのサードプレイスとなるのです。感動とも安心感とも言える雰囲気を求め、わざわざ足を運んでくれるのです。

そこに人間らしさがあり、すごく自然体なビジネス

「スターバックスの事業はとても自然体な仕事だ」と思いました。人が求めるものを考え、必要とされる以上の形にして提供する。だから常に相手の期待値を上回る〝ギャップ″ を生みだせる。それが驚きと感動を与え、だからこそ相手は喜んで対価を払い、繰り返し来てくれる。その結果として会社は潤い、従業員やその家族も満たされ、事業が将来に渡って継続される。

それが本来ビジネスがあるべき自然な形だと気付きました。だからスターバックスは世の中の景気には大きく左右されず、絶えず人々に求められる企業へと、常に右肩上がりの成長を続けられたんですね

私が22歳のときから8年以上過ごした不動産の世界では、おそらくそれ以上居ても何年経とうと気付くことなく、縁のない価値観だったと思います。その証拠に不動産業界の売り上げというものは、間違いなく景気の波の影響を受けます。上場企業の株価を見れば一目瞭然です。つまり常に人々に求められる事業ではないということです。スターバックスとは正反対の世界と言っていいかもしれません。

しかし「だからこそ」という思いが次第に大きくなり始めました。

私がスターバックスの事業に魅力を感じれば感じるほど、不動産業界ももっと何か変わる余地はあるんじゃないかと思えました。それに変わる必要があると。そして、それはきっと消費者からも求められている。

「今の自分ならその術を考えられるんじゃないかな?」

気付けばいつの間にか、そんな風に信じるようになっていました。
そして改めて過去8年間の不動産業界での経験を振り返り、あらゆる問題点を洗い出しました。

その結果…

これから不動産業で重要なのは「人間性」と「専門性」

そう結論付けました。「人間性」と「専門性」この2つを消費者の方々にしっかり認めて頂くことが、不動産業界に大きな変革をもたらすと思っています。

『宅建士』と聞けば「ダサい名称だし、きっと流行らないよ。真面目そうでお堅くて、なんかだか近寄り難いよね」といった印象を抱く人も多いと思います。しかし、それくらい専門性と真面目さを追求することが重要になると考えています。特に中古不動産は、プロの「見る目」が欠かせません。目に見えないものを、正確に見抜く能力が必要です。

そして〝物件″ ではなく〝宅建士″ を主役にしたことは「人間性」の追求にほかなりません。

これまでのマイホーム探しはもれなく『物件』が主役でした。買いたい人は希望に合う物件情報を求めて不動産屋に足を運びます。そして、そこではじめて自分を担当する営業マンと出会います。後々、ほぼ確実にその営業マンからマイホームを買うというわけです。

つまり、これまで多くの人はマイホーム購入の初動において「どんな家を買うか?」ばかりに目が行ってしまいがちで「誰から買うか?」なんて、ほとんど重要とされてきませんでした。

しかし、実はそこにマイホームで失敗し、あとになって後悔している人々のハマる〝落とし穴″ があったのです。

問題は「その穴は誰が掘ったのか?」

その答えは、もちろん〝営業マン″ でしょう。だから、この穴を埋めるため…いや、そもそも穴を掘らないために今、業界には「人間性」と「専門性」の追求が不可欠なのです。それこそ、今すぐ不動産業界全体で一丸となって取りかかるべき課題であると確信しています。

そしてそれが私の理想とするモノではなく〝人″が主役になる「仕事」です

 

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